ダンデライオン
どしゃ降りの雨の中で、鉄同士がぶつかりあう音を聞いた。

「えっ…?」

今の音は、何…?

私は恐る恐る、音がした方向へと足を向かわせた。

「――ッ…!?」

私の足元に広がっていたのは、鮮やかな赤色だった。

…何、これ?

鮮やかな赤色は、コンクリートの地面を一部だけ染めていた。

赤色が示している方向に視線を向けた。

そこにいたのは、
「――忍、兄ちゃん…?」

私に頭を向けて倒れている忍兄ちゃんの姿だった。

彼の頭から、鮮やかな赤色が流れている。

――これは、血…?
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