ダンデライオン
朔太郎が京都の有名料亭で修業したい気持ちはわかっている。

「麻子を置いてまで、京都へ修業しに行きたくないんだ」

朔太郎が言った。

「良太くんは、医者になるために県外の大学に行っているんだろう?」

「うん…」

私が朔太郎と一緒に京都へ行ってしまったら、お父さんとお店を置いて行くことになってしまう。

「父親を1人にしたくないって言う麻子の気持ちはわかってる」

「うん…」

今の今まで、朔太郎の夢を応援してきた。

マンガやドラマでだったけど、板前と言う職業について調べた。

その朔太郎が今、夢へ向かって走って行こうとしている。

だけど板前の夢をかなえるためには、“婚約者”と言う存在を犠牲にしないといけない。
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