ダンデライオン
気がついたら、私は家の前にいた。

「――あ、れ…?」

私、いつの間に帰ってきていたんだろう?

そう思いながら、家の中に入った。

「おー、お帰りー」

お父さんが迎えてくれた。

「あれ?

麻子、お前本当に飯を食ってきたのか?

何か顔色悪いぞ?」

お父さんが私の顔を覗き込んだ。

「えっ…」

ああ、そう言えば昼ご飯を食べるのを忘れてた。

「それとも、朔太郎くんのところで何か変なもんでも食わされたのか?」

「ち、違うに決まってるじゃない!」

私は首を横に振った。
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