ダンデライオン
「そんな訳ないよなー。

あっちは飲食店だし、何より麻子の躰は病気知らずなんだからな」

ガハハと、お父さんは豪快に笑った。

「ちょっと、それどう言う意味なのよ。

私、インフルエンザにかかったことあったじゃないの」

「そんなもん、お前が高校2年生の時の話だろうが」

確かに、それ以降は風邪をひいたことが1回もない。

…やっぱり、お父さんを1人にすることなんてできないや。

のん気に笑っているお父さんの顔を見ながら、私はそう思った。

――夢をかなえるためには、何かを1つ犠牲にしないといけない

ドラマだっか小説だったかは忘れてしまったけど、そんな言葉があった。

夢をかなえる対価として何かを差し出さないといけない。

同時に夢をかなえるのは難しいから、どちらか1つをあきらめないといけない。
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