ダンデライオン
お風呂から出て台所へ向かっていたら、
「ただいまー」

忍兄ちゃんが帰ってきた。

「お帰りなさい」

台所から返事をした。

「あー、腹減ったー」

忍兄ちゃんが台所に入ってきた。

「今日は何か食べたんじゃないの?」

そう言った後で時計に視線を向けると、10時30分を少し過ぎていた。

忍兄ちゃんが遅番の時は外で夕飯を食べるのだ。

「あー、今日は忙しかったから何にも食べていないんだ」

忍兄ちゃんは息を吐いた後、ネクタイをゆるめた。

「そっか、世間はもう夏休みだもんね」

泊まりにくるお客さんもいるから、当然ホテルは大忙しなのだろう。
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