ダンデライオン
「ホテルマンをなめるな、ホテルマンを」

忍兄ちゃんはなすの浅漬けを口に入れた。

「何よそれ、訳わかんないんだけど」

私は毒づくように忍兄ちゃんに返した。

「おじさんには言ったの?」

そう聞いてきた忍兄ちゃんに、
「言える訳ないじゃないの。

私と朔太郎の問題なんだから」

私は首を横に振って答えた。

「俺には言ってもいいんじゃないの?

アサちゃんと板前見習いとの間に問題があることを知ったんだし」

忍兄ちゃんが言い返した。

「何よそれ…」

呟くように言った私に、
「俺じゃ役に立たないからって、アサちゃんはそう言いたいの?」

忍兄ちゃんが言った。
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