ダンデライオン
「…それって、私は子供のままだってそう言いたいの?」

そう聞いた私に、忍兄ちゃんは唇を閉じた。

さっきまで饒舌に言葉を吐いていたくせに、どうして黙ってしまったのだろう?

「子供のままだなんて、俺はそう言う意味で言った訳じゃないよ」

忍兄ちゃんの唇が開いたと思ったら、そんなことを言った。

「じゃあ、どう言う意味でそう言ったのよ?」

そう言った私の声色がイラついたものになっていることに気づいた。

「アサちゃん、落ち着いてよ」

私がイラついていることに気づいたと言うように、忍兄ちゃんが言った。

「私の質問にまだ答えていないわ!」

忍兄ちゃんに見抜かれたことが悔しくて、私は声を荒げてしまった。
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