ダンデライオン
忍兄ちゃんに悪気はないのは、もちろんわかっている。

彼の言う通り、私は自分の問題だと言って1人で抱え込もうとしている。

忍兄ちゃんはそんな私に手を差し伸べているだけなのに。

なのに私は、
「私と朔太郎の問題なんだから、忍兄ちゃんは口を挟まないで!」

差し出した彼の手を拒もうとしていた。

「アサちゃん…」

忍兄ちゃんが悲しそうな顔をして、悲しそうな声で私の名前を呼んだ。

「わかったなら、もう何にも言わないで」

私は忍兄ちゃんに言うと、椅子から腰をあげた。

「おやすみ」

忍兄ちゃんにそう言うと、私は台所を後にした。
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