ダンデライオン
自室に入ると、私はふとんのうえに倒れ込んだ。

「何をしているのよ、私は…」

これじゃ、八つ当たりも同然じゃないの。

さっきの忍兄ちゃんの悲しい顔を思うと、私の胸がチクリと痛んだ。

すれ違いかけている私と朔太郎の関係を忍兄ちゃんは助けようとしただけなのに…。

差し出された彼の手を振り払ってしまった自分が嫌になる。

忍兄ちゃんの言う通り、私は意地っ張りだ。

自分の問題だと言って、彼が差し出した手を振り払った。

「バカにも程があるわよ…」

そう呟いた後で、枕に顔を埋めた。

私が何か問題を抱えていることがわかると、忍兄ちゃんはすぐに見抜いた。

テストの点数が悪かった時や友達とケンカをした時、忍兄ちゃんはそれを見抜いて私に手を差し出してくれた。
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