ダンデライオン
――次のテストを頑張ればいい点数がとれるよ

――素直にごめんなさいをすれば、その子は許してくれるよ

彼が手を差し出してくれたおかげで、私は助かった。

次のテストでいい点数をとることができたし、友達とも仲直りができた。

だけど…私はいつから、彼が差し出した手を拒むようになってしまったのだろう?

年齢をとるごとに、私は忍兄ちゃんに見抜かれるのが怖くなった。

忍兄ちゃんに見抜かれるのが怖くて、私は自分の身に起こっている問題を隠すようになった。

それに気づいた忍兄ちゃんの手を、私の問題だからと言って拒むようになった。

本当は助けて欲しかったのに…。

忍兄ちゃんの意見も聞きたかったのに…。

そっと目を閉じると、悲しそうな忍兄ちゃんの顔がまぶたに浮かんだ。

ねえ、忍兄ちゃん。

私が素直にごめんなさいをすれば、あなたは私のことを許してくれますか?
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