ダンデライオン
解説のような浅井さんの問いに、
「はい」

俺は首を縦に振ってうなずいた。

「君と一緒に京都へ行くか君を手放すか。

君が悩んでいるように、アサちゃんも悩んでいるよ」

そう言った浅井さんに、俺は何も返すことができなかった。

まるで、麻子が悩んでいるのは俺のせいだと言われているみたいで。

「それで、君はどうしたいんだ?」

浅井さんが聞いてきた。

「えっ…?」

「君は、アサちゃんと夢をどうしたいんだと聞いているんだ」

「ど、どうって…麻子を連れて京都へ行くことができるなら、麻子を連れて行きたいです。

麻子と一緒に京都で暮らして、板前の夢をかなえたいです」

それが1番の理想だ。

麻子と一緒にいることと板前の夢をかなえること、どっちもかなえたいと言うのが俺の理想だ。
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