ダンデライオン
「もちろん、ホテルマンとしての仕事も選ぶ。

だけどもしアサちゃんがホテルマンを辞めて自分と一緒に花屋を継いで欲しいと言うなら、俺はホテルマンとしての仕事を辞める。

とにかく俺は何があっても、最後にはアサちゃんを選ぶよ。

アサちゃんのためなら、夢を捨てても構わないって思っているから」

この人は、本当に麻子のことを好きなんだと思った。

俺が知らない彼女の子供時代から、浅井さんはいつも隣にいた。

「俺だって、麻子のことを大切に思っています。

麻子のことを大切に思っているから、悩んでいる訳で…」

そう言った俺の言葉をさえぎるように、
「だったら、言えばいいじゃない。

俺と一緒に京都へきてくれ、って」

浅井さんが言った。
< 212 / 360 >

この作品をシェア

pagetop