ダンデライオン
ホテルマンの制服なんて初めて見たよ…。

と思ったけど、自分の本来の目的を思い出した。

「忍兄ちゃん、これ」

私は紙袋を忍兄ちゃんの前に差し出した。

「ああ、ありがとう。

助かったよ」

忍兄ちゃんは嬉しそうに言うと、私の手から紙袋を受け取った。

「じゃ、私はこれで」

そう言って背中を見せようとしたら、
「ああ、待って」

忍兄ちゃんに呼び止められた。

何よ、用事はもう済んだんじゃないの?

そう思った私に、
「せっかくここまできたんだし、お昼一緒に食べに行かない?」

忍兄ちゃんが言った。
< 219 / 360 >

この作品をシェア

pagetop