ダンデライオン
忍兄ちゃんが気づいたと言うように徳井さんに視線を向けた。

「あの、何か?」

そう言って話しかけた忍兄ちゃんに、
「今から休憩?

遅れないように気をつけてちょうだいね」

徳井さんはそう言うと、その場を立ち去った。

変な人だなと思った私に、
「はい」

忍兄ちゃんがスマートフォンを差し出した。

「あー、はいはい」

私は忍兄ちゃんの手からスマートフォンを受け取ると、電話帳からお父さんの電話番号をタップした。

お父さんに忍兄ちゃんとお昼ご飯を食べると言うことを伝えた後、
「はい、どうも」

忍兄ちゃんにスマートフォンを返した。

忍兄ちゃんは私の手からスマートフォンを受け取ると、シャツの胸ポケットに入れた。

「じゃあ、食べに行こうか」

忍兄ちゃんに促され、私はホテルの外に出た。
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