ダンデライオン
外に出たとたん、クーラーがよく効いていて涼しかったホテルの中とは売って変わって、真夏の太陽が降り注いでいる暑い日差しに襲われた。

もうすぐで8月か…。

8月が終われば9月がくる。

朔太郎のことを思い出したとたん、私の胸が痛くなったのがわかった。

「アサちゃん、何食べたい?

この辺は美味しいお店がいっぱい並んでいるんだ」

隣を歩いている忍兄ちゃんが私に話しかけてきた。

「美味しいお店って、たとえば何があるの?」

そう聞いた私に、
「イタリアンとかハンバーグとか牛タンとかオムライスとか」

忍兄ちゃんが答えた。

「いつもこの辺にあるお店でご飯を済ませてるの?」

ホテルマンって、結構忙しいイメージがあるんだけどなあ。
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