ダンデライオン
いや、待って!

そんな日は絶対にこないから!

「あ、あのね、忍兄ちゃん…」

こうなったら朔太郎の話をするしか他がないと思って話を切り出そうとした私だけど、
「疲れたからもう寝るね」

忍兄ちゃんは腰をあげると、縁側から去って行った。

「えーっ、ちょっとー」

話そびれちゃった…。

とにかく、忍兄ちゃんに朔太郎と結婚を前提につきあっていることを話さないと。

「ああ、でも話ちゃったら忍兄ちゃん気絶しちゃうかな…」

忍兄ちゃんの心臓は弱くないけど、やっぱりショックなものはあるだろうな。

梅雨明けと同時に訪れた幼なじみに、私は今年の夏が去年とは違う夏になるような気がした。

「何てこったパンナコッタ…」

今流行りのオヤジギャグを呟いた後、私は溶けかけているアイスを口に入れた。
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