ダンデライオン
謝っていないのに、私のことを心配しているんだ。

そう思ったら何だか申し訳なくて、
「あの、忍兄ちゃん」

忍兄ちゃんに声をかけた。

「その…この間は、ごめんね」

呟いているような小さな声で、忍兄ちゃんに謝った。

「何のこと?」

忍兄ちゃんは不思議そうな顔をして聞き返した。

「な、何のことって、忍兄ちゃんがなすの浅漬けを食べてた時…」

「ああ、あの時ね。

俺もごめん、ちょっと言い過ぎた」

忍兄ちゃんも謝った。

「じゃあ、また」

「お仕事頑張ってね」

私たちは店の前で別れた。
< 230 / 360 >

この作品をシェア

pagetop