ダンデライオン
朔太郎が驚いた顔をした。

だけど、１番驚いているのは私の方だった。

私、今何て言ったの？

突然のことに戸惑っている私の心を無視するように、
「朔太郎が京都へ行って板前の夢をかなえるの、私待ってるから」

唇が動いていた。

「えっ…」

朔太郎が訳がわからないと言うように戸惑っている。

私の方だって、訳がわからないよ…。

私は一体、朔太郎に何を言ってるの？

「だから、京都へ行ってきなよ。

私、朔太郎の夢がかなうのをずっと待ってるから」

自分でも何を言ってるのか、よくわからなくなってきた。

だけど、朔太郎が夢をかなえるのを待っていると言うのは本当のことであって…って、これじゃあ矛盾しているにも程があるよ。
< 233 / 360 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop