ダンデライオン
朔太郎、何か言ってよ。

何を言っているんだって、怒ってよ。

「――あ、ああ…」

朔太郎は戸惑いながらも、首を縦に振ってうなずいた。

その瞬間、終わったと私は思った。

朔太郎との関係を、私が終わらせてしまった…。

そうだよね…。

朔太郎からして見たら、別れようって言われたようなものだよね…。

「もうついたから…」

朔太郎が言った。

気がついたら、『徒然曜日』の前だった。

「また明日からお昼食べにきてよ」

朔太郎は一言私に言った後、引き戸を開けた。

朔太郎が店の中に足を踏み入れた。

私は、彼の背中に向かって声をかけることができなかった。
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