ダンデライオン
「お父さん、忍兄ちゃんにまだ朔太郎のことを話していないの」

私がお父さんに言ったら、
「えっ、そうなの？」

お父さんが驚いたと言うように聞き返した。

「私と朔太郎がつきあったのは、つい最近でしょう？

だからまだ忍兄ちゃんに言っていないのよ」

「ああ、そうだったんだ」

私の言葉に、お父さんは納得したと言うように首を縦に振ってうなずいた。

「朔太郎のことは私がタイミングを見計らって忍兄ちゃんにちゃんと話すから、それまで黙っててくれないかしら？」

人差し指を顔の前に出した私に、
「まあ、麻子がそう言うならわかったよ」

お父さんは首を縦に振ってうなずいた。
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