ダンデライオン
――お前は俺の大事な息子なんだ

あの時に忍兄ちゃんに言っていた言葉の本当の意味が、今わかった。

忍兄ちゃんと血が繋がっていなくても、おじさんは忍兄ちゃんのことを大切にしていた。

おじさんは忍兄ちゃんを本当の息子として愛していた。

忍兄ちゃんはベッドのそばで、大声をあげて泣いていた。

私は、そんな彼の姿を見つめていた。


忍兄ちゃんの気が済むまでおじさんのそばにいさせてあげようと、私たちは病室を後にした。

待合室のソファーに座ると、おばさんはお父さんとお母さんに忍兄ちゃんの出生のことを話した。

「そうだったんですか…」

話を聞き終えたお父さんは呟くように返事をした。

「どうしてそんな大事なことを私に相談してくれなかったの…！？」

お母さんはおばさんに言った。

「ごめんなさい…」

おばさんは呟いているような声で、お母さんに謝った。
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