ダンデライオン
寝てしまっている良太に肩を貸している私は、大人たちの話に耳を傾けていた。

「ダメだったとは言え、好きになった人との間にできた子供を堕ろしたくなかったの…。

でも、どうすればいいのかわからなかった…。

だから忠志さんに相談することしかできなかった…」

おばさんは呟くように、お母さんに話した。

「子供には何の罪もないんだ。

俺は忍くんが生まれてきてくれてよかったと思ってる。

忠志くんも、忍くんが生まれたことを喜んでたんだろ?

忍くんの名前をつけたのは、忠志くんだったんだから」

お父さんが励ますようにお母さんとおばさんに言った。

「えっ、そうなの?」

お母さんが驚いたと言うように聞き返した。
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