ダンデライオン
ブラインドのすき間から差し込んできた光に、朝がきたことを知った。

そっと目を開けると、薄い水色のような空がブラインドのすき間から見えた。

口につけている呼吸器が邪魔で、苦しくて息ができない。

ピッピッ…と、電子音が規則正しく動いていた。

――ああ、夢を見ていたんだ

頬を伝っている涙が、それを物語っていた。

忍兄ちゃんが帰ってきてから、昔の夢を見てばかりだ。

「――忍兄ちゃん…」

眠っていたせいでのどの痛みは軽減されていたけど、忍兄ちゃんの名前を呟いた声はしゃがれたままだった。

今は何時なのかわからないけど、空が明るいところを見ると朝がきていることだけはわかった。
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