ダンデライオン
よかった、黙ってくれるみたいだ。

私はホッと胸をなで下ろした。

「もうそろそろで市場へ出かける時間だから、飯食っていいか?」

そう聞いてきたお父さんに、
「どうぞどうぞ」

私は首を縦に振って食卓までの道を手で示した。

「じゃあ、飯食ってくる」

お父さんはそう言うと、食卓の方へと戻って行った。

お父さんが食卓へ入ったことを確認すると、
「あ~、朝から心臓に悪い~」

私は大きく息を吐くと、壁にもたれかかった。

「今日は縁起が悪い1日になりそうだわ…」

毒づくように呟いた後、私も食卓の方へと足を向かわせた。
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