ダンデライオン
「と言うか、ケータイも入ってるわよ。

後、充電器も」

さくらちゃんはボストンバックの中をガサゴソとさせた後、私のスマートフォンと充電器を出した。

「後、小説も3冊ほど入ってるから」

さくらちゃんは文庫本を3冊出した後、テーブルのうえに置いた。

「ずいぶん入れたわね…」

呟くように言った私に、
「入院生活は退屈だってよく聞くから」

さくらちゃんは得意そうに笑った。

お昼の時間30分前まで、さくらちゃんと雑談をした。

「じゃあ、私はもう帰るから」

「わざわざ、お見舞いにきてくれてありがとうね」

「退院したらまた私の店へ遊びにきてね」

「うん、バイバイ」

さくらちゃんが病室を出て行った。
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