ダンデライオン
8月も終わりに近づいてきた日のこと。

私と忍兄ちゃんは、朔太郎の見送りに新幹線のホームにきていた。

「朔太郎、元気でね」

そう言った私に、
「麻子も、浅井さんと仲良くな」

朔太郎が笑いながら言った。

「ちょっと、もう!」

両手を頬に当てた私に、
「浅井さん、麻子を泣かせたら取り返しにきますからね」

朔太郎は忍兄ちゃんに言った。

「取り返しにきても奪い返すから、意味ないけどね」

忍兄ちゃんはペロリと舌を出した。

プルルルルルル…

発車のベルがホームに響き渡った。

「機会があったら、京都へ遊びにきてくださいね」

「うん、案内してね」

プシューと音を立てて、目の前のドアが閉まった。
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