ダンデライオン
朔太郎が手を振ったので、私も手を振った。

そのとたん、朔太郎を乗せた新幹線が出発した。

新幹線の姿が見えなくなると、
「帰ろうか?」

忍兄ちゃんが声をかけたので、私たちはホームを後にした。

駅を出ると、
「京都か…。

小学校の修学旅行以来だな」

忍兄ちゃんが言った。

「そうだね、久しぶりに行ってみたいかも」

そう言い返した私に、
「じゃあ、新婚旅行は京都にする?」

忍兄ちゃんがイタズラっ子のように笑った。

「ちょっと、まだ早いわよ」

私たちは笑いあった。

「でもさ」

忍兄ちゃんが思い出したと言うように言った。
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