ダンデライオン
「麻子」

忍兄ちゃんが私の名前を呼んで、小指を私の目の前に差し出してきた。

「約束」

そう言った忍兄ちゃんに、
「うん」

私は返事をして、自分の小指を忍兄ちゃんの小指に絡めた。

「これからは、麻子のそばにずっといる。

死が2人を分かつまで、いや…分かちあったとしても、ずっと一緒だ」

ずいぶんと、遠回りをした。

だけど、最後には自分たちが帰るべき場所に戻ってきた。

「私も、忍兄ちゃ…いや、忍と一緒にいるわ」

――アサちゃんが大人になったら、忍兄ちゃんのお嫁さんにしてあげるよ

こうして2人で約束を交わすのは、子供の時のあれ以来かも知れない。

そう思った私に、
「帰ろうか?」

そう言って差し出された忍兄ちゃんの手を、私は繋いだ。


☆★END☆★
< 359 / 360 >

この作品をシェア

pagetop