ダンデライオン
時計が12時を差した頃、
「じゃあ、行ってくるねー」

私はエプロンを外した。

「おう、行ってらっしゃい」

お父さんが返事したのを確認すると、私は家を後にした。

「暑いなあ」

ギラギラと照りつける太陽に、頭が焼けてしまうんじゃないかと思った。

梅雨が明けたんだなと改めて思った。

そう思いながら私がついたところは、朔太郎の勤め先である小料理屋『徒然曜日』である。

「こんにちわー」

ガラガラと引き戸を開けると、私はあいさつした。

「おう、いらっしゃい!」

出迎えてくれたのは花板(板場を仕切る最上位)の逢坂さんだ。
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