ダンデライオン
時計が7時50分を差した頃、
「ちょっと、さくらちゃんのところに出かけてくる」

私は居間でテレビを見ているお父さんに向かって声をかけた。

「えっ、今から行くのか?」

お父さんは驚いたと言うように聞いてきた。

「さくらちゃんのところで用事があるから行くのよ」

私はお父さんに言い返した。

「なるべく遅くならないように気をつけろよ。

遅くなるようだったら、連絡しろよ」

「わかった。

じゃあ、行ってきます」

私はスニーカーを履くと、家を後にした。

忍兄ちゃんは今日は遅番の日で家にいなかった。
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