ダンデライオン
彼女はアサちゃんとは違うタイプの美人だと思った。

アサちゃんは“優等生系美人”だけど、彼女はアサちゃんの言う通りの“大和撫子系美人”である。

そう思いながら、
「この前はアサちゃんがごめんね」

俺は彼女に話しかけた。

話しかけてきた俺に彼女は一瞬驚いたような顔をしたけど、
「いえ、何も知らなかったあたしたちもあたしたちだったので…」
と、首を横に振って答えた。

この前とは、アサちゃんが彼らに仕掛けた怪談ドッキリのことである。

彼らは目を回すほどに気を失って、美桜ちゃんの家で介抱を受けたのだ。

「あたしたちはてっきり、幼なじみの浅井さんが麻子さんの婚約者さんのことを知っていると思っていたので…」

彼女が呟くような声で俺に言った。

そう言った彼女に、
「幼なじみ、か…」

俺は呟いた後、息を吐いた。
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