ダンデライオン
他の人から見たら、俺が子供の頃からアサちゃんに思いを寄せていると言うことを知らないだろう。

俺とアサちゃんの関係は彼女の言う通り、“幼なじみ”と言う風に認識されてしまっている。

正直、俺としてはとても複雑だ。

「違うん、ですか?」

俺の呟きが聞こえたと言うように、彼女が驚いたと言うように聞いてきた。

この子、意外と耳がいいんだな。

そう思いながら、
「5歳離れてるけど、アサちゃんとは幼なじみだよ。

だけど、俺は5年前から最近まで名古屋へ行ってたからアサちゃんに婚約者ができたことを知らなかった。

アサちゃんも話してくれなかったし…」

言い終わった後、俺は息を吐いた。

ああ、そう言えば彼女の名前は何だったっけな?

俺の記憶違いじゃなければ、名前に“雨”が入っていたはずだ。
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