ダンデライオン
“婚約者”と言う単語を使いたくなかったけど、ノゾミちゃんから逃げるためにはこの単語が1番効果的だと思った。

「婚約者がいるからその…できない、みたいな」

そう言った俺に、
「はあ、そうですか…」

ノゾミちゃんは納得してくれたようだった。

はあ、助かった…。

もしこれ以上のことに首を入れられたらどうしようかと思ってた。

そう思っていたら、
「あっ、ついたみたいだね」

ノゾミちゃんの職場兼自宅である雑貨屋『キャンディ・ハウス』についていた。

「じゃあ、また」

そう言ってノゾミちゃんの前から立ち去った俺に、
「さようならー」

ノゾミちゃんはあいさつをしてくれた。

「ぎゃっ!」

俺の後ろですごい悲鳴が聞こえたような気がするけど、無視しよう。
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