気分屋キライスキー
帰り道
「なぁ、怒るなって」
土曜の夕暮れ時、買い物の帰り道。
いつもみたいに二人で帰るけど、いつもと違うのは喧嘩してること。
商店街のクジでもらった飴玉をガリガリと歯で砕き、ドスドス地面を踏み鳴らして歩いて怒ってるぞとアピール。
「なぁ、て」
隣にきて渋々機嫌をとろうとしている奴に、手に持った買い物袋を当ててやりながらまた飴を噛んだ。ガチリ
返事すら億劫で、イライラしてることが伝わればいい。
「チッ…あーもう」
さすがに面倒くさくなったのか頭を掻き出した。やっと私の言うことを聞いてくれる気になったか!
「わかったよ、買えばいいんだろ?」
やった!その一言を待っていた!
苦い顔をした奴をニヤリと見てやり、ニタッと微笑む。もう不機嫌は無し、機嫌は最高にハイだ。
ドスドス歩くのをやめて奴の周りでステップを踏んでやる。…小躍りみたいになったけど
奴はため息をつくと、さっき通りすぎた自販機に戻っていった。
買い物袋を持ったままその場で待機してその様を見る。奴は小銭を取り出そうとしてスーパーの袋からネギを落としていた。
ざまーみろ
「ほらよ」
自販機から取り出したジュースを走って持ってきた。そうそう、これを待っていたのさ。
「大人の癖に子供用自販機でジュース買ってくれってせがむクソ女さんどうぞ」
むかつく一言は無視をし、買い物袋を奴にすべて持たせ代わりに受けとる。あぁ…四角い懐かしい感触が掌に伝わってくる。すぐさまストローを刺そうとして、そして気づいた。おま、これ…
「コーヒー味ぃ!」
ツッコミと同時に蹴りがとぶ。
「マミーだろ!マミーって言ったのに!!」
機嫌ハイだったのがまたしても怒りに。
そんなことも然程気にしていないのか、寸前で私の蹴りを受け止めた奴は意外と冷静だった。
「うるせえな…マミーなんか飲んでんじゃねーよバーカ。背か?諦めろよ
つか自分で買えよ、小遣いあるだろーが」
「ヤダ」
「くッそワガママ」
「アリガトウ」
「ドイタシマシテ。…つかそれ俺が買ったんだからちょっとよこせ」
いつもと同じように言い合いをして、いつもと同じようにどつきながら家に帰る。喧嘩してもしなくても、いつも同じ。
「うえ、不っ味いな。マミーやめろよ、だっさいし」
「カルシウム入ってるってかいてあるから」
「身長かよ…だーかーらー…伸びなくていいんだっつの。そのままの方が、俺は好きだし」
「……ちょっとさ、最後もっかい言って」
なかなかいつも好きと言わないから、ちょっとドキマギする。あわよくばもう一度ききたいのだが
「………」
夕暮れは2つの影を見守る。
いつもと同じように。
「…………おい、なんか言えよ」
口を尖らせながら、視線は地面へ。
期待しているからこそ目を背けるのだ。
しかし、不意に隣の足が止まった。
「聞きたいの?」
釣られて止まる足。言葉の真意を知るため2、3歩先から振り返った。
そこからはもう、
息を感じる瞬間。
鳥みたいに押し当てるだけのキスをして、終わったらさっと歩いていく奴。
「あほみたいな面してる」
この甘さは嫌いじゃない。
自分から相手へ、相手から自分へと伝わるのは、パッケージと同じ苦さのない。
子供用の甘ったるい味だ。
「」
「……この『短さ』が、 好き」
頭に手をポンポン置きながら言われた
返答が気に入らなくて、またしても蹴りを放った。
土曜の夕暮れ時、買い物の帰り道。
いつもみたいに二人で帰るけど、いつもと違うのは喧嘩してること。
商店街のクジでもらった飴玉をガリガリと歯で砕き、ドスドス地面を踏み鳴らして歩いて怒ってるぞとアピール。
「なぁ、て」
隣にきて渋々機嫌をとろうとしている奴に、手に持った買い物袋を当ててやりながらまた飴を噛んだ。ガチリ
返事すら億劫で、イライラしてることが伝わればいい。
「チッ…あーもう」
さすがに面倒くさくなったのか頭を掻き出した。やっと私の言うことを聞いてくれる気になったか!
「わかったよ、買えばいいんだろ?」
やった!その一言を待っていた!
苦い顔をした奴をニヤリと見てやり、ニタッと微笑む。もう不機嫌は無し、機嫌は最高にハイだ。
ドスドス歩くのをやめて奴の周りでステップを踏んでやる。…小躍りみたいになったけど
奴はため息をつくと、さっき通りすぎた自販機に戻っていった。
買い物袋を持ったままその場で待機してその様を見る。奴は小銭を取り出そうとしてスーパーの袋からネギを落としていた。
ざまーみろ
「ほらよ」
自販機から取り出したジュースを走って持ってきた。そうそう、これを待っていたのさ。
「大人の癖に子供用自販機でジュース買ってくれってせがむクソ女さんどうぞ」
むかつく一言は無視をし、買い物袋を奴にすべて持たせ代わりに受けとる。あぁ…四角い懐かしい感触が掌に伝わってくる。すぐさまストローを刺そうとして、そして気づいた。おま、これ…
「コーヒー味ぃ!」
ツッコミと同時に蹴りがとぶ。
「マミーだろ!マミーって言ったのに!!」
機嫌ハイだったのがまたしても怒りに。
そんなことも然程気にしていないのか、寸前で私の蹴りを受け止めた奴は意外と冷静だった。
「うるせえな…マミーなんか飲んでんじゃねーよバーカ。背か?諦めろよ
つか自分で買えよ、小遣いあるだろーが」
「ヤダ」
「くッそワガママ」
「アリガトウ」
「ドイタシマシテ。…つかそれ俺が買ったんだからちょっとよこせ」
いつもと同じように言い合いをして、いつもと同じようにどつきながら家に帰る。喧嘩してもしなくても、いつも同じ。
「うえ、不っ味いな。マミーやめろよ、だっさいし」
「カルシウム入ってるってかいてあるから」
「身長かよ…だーかーらー…伸びなくていいんだっつの。そのままの方が、俺は好きだし」
「……ちょっとさ、最後もっかい言って」
なかなかいつも好きと言わないから、ちょっとドキマギする。あわよくばもう一度ききたいのだが
「………」
夕暮れは2つの影を見守る。
いつもと同じように。
「…………おい、なんか言えよ」
口を尖らせながら、視線は地面へ。
期待しているからこそ目を背けるのだ。
しかし、不意に隣の足が止まった。
「聞きたいの?」
釣られて止まる足。言葉の真意を知るため2、3歩先から振り返った。
そこからはもう、
息を感じる瞬間。
鳥みたいに押し当てるだけのキスをして、終わったらさっと歩いていく奴。
「あほみたいな面してる」
この甘さは嫌いじゃない。
自分から相手へ、相手から自分へと伝わるのは、パッケージと同じ苦さのない。
子供用の甘ったるい味だ。
「」
「……この『短さ』が、 好き」
頭に手をポンポン置きながら言われた
返答が気に入らなくて、またしても蹴りを放った。