狼×4+私=架空世界
気づけば、家にいた。
ベッドにいたままだった。
夢ではなかった。
あんなに鮮明に見え、そして聞こえる夢なんてない。
人並みにしたいには免疫があると思っていた。
過大評価しすぎたようだ。
次の瞬間には既に、トイレに籠っていた。
今更ながら、本物の死体なんて見たことない事に気づく。
吐き続けた。
とは言っても何もでては来ない。
胃液のような物が、喉を這いあがり口から流れ出るだけであった。
喉が焼けるように熱く、下には苦味が残る。
こんなに吐き続けたことはない。
体中から全ての水分が抜けるんじゃないかってくらい吐き続けた。
お腹につっかえ棒をされたみたいに、不快感が残る。
そのおかげか、少しずつ落ち着いてきた。
ゆっくりと立ち上がると、目がぐるぐる回る。
頭が痛い。
とりあえず、トイレから出るとハヤテが壁に寄りかかって立っていた。
私の顔を見たハヤテは、ふにゃりといつも通りに微笑んだ。
ずくんっ。
「…?」
「落ち着いた~?一回寝た方がいいよ~。」
「うん…。」
胸が一瞬飛び跳ねた気がした。
でも、次には何事もなく心臓は動いている。
それにしても、だ。
ハヤテはいつもこんなことしないのにな…。
大体、私を心配してくるのはマシューな訳で。
ハヤテはどちらかと言うと、気が利かない部類の気がする…
ひょいと足が宙に浮く。
何事かと思って見ると、ハヤテが私のことを抱きかかえていた。
騒いだり皮肉を言ったりするほど体力も残っていないので、私は大人しく運ばれた。
特に、胸は高鳴らない。
やっぱり病気なんだろうか…
私の部屋に入り、ベッドに優しく降ろされた。
布団を口元までかけられる。
途端に、疲労のせいか睡魔が私を襲った。
目を閉じる寸前、ハヤテの口が何かを呟くように動いたように見えた。
*:*:*:*:*
今の状態はなんと言えばいいだろうか。
率直に言うと、空に浮かんで二人の子供を眺めてる。
私の体はどんなに探しても見えない。
これは夢なんだと気づいた。
小さい男の子と女の子がブランコに乗って話している。
ここからじゃよく聞こえない。
さすがに夢の中じゃ千里眼は使えないらしい。
私はその二人に近づこうと透明な体で虚空を足掻いた。
少しずつ、会話の内容が聞こえてくる。
「…は将来、何になるの?」
男の子が女の子にそう聞いた。
すると女の子は自信満々に
「私は将来大きなお家に住みたい!!」
そう答えた。
「…は何になりたいの?」
相手に私のことは見えていないらしい。
結構近い距離にいるのに、こちらには目も向けない。
そして、肝心の名前が聞こえない。
これじゃあ、誰が誰なんだか全く分からない。
「僕は、政治家になってこの国を変えたい。」
男の子は自信なさげにそう答えた。
説教された後の子犬みたいに眉尻が下がっている。
女の子は当たり前のようにこう切り返した。
「どうして?今のままでもいいじゃない。」
「よっよくないよ!!
だって人が死んでるのに、皆どうして何も思わないの?」
この男の子、なかなか分かってる。
ちゃんと核を持ってる。
大丈夫、君はいい政治家になれそうだよ。
届かない言葉を頭の中に並べる。
女の子はちょっと怒り気味に言い返す。
「これが世界の流れなんだよ?」
「わッ分かってるよ!!そんなの!!」
子供のくせに可愛くないこと言うな~…
それに、この二人どちらもそれなりに顔が整っている。
小さい頃からの美形っていいな、羨ましい…
「栞(シオリ)はもうちょっと夢を見た方がいいよ。」
「疾風(ハヤテ)こそ、もうちょっと現実見た方がいいんじゃないの?」
女の子は栞。男の子は疾風。
ん?疾風?ってあの、ハヤテ?
言われてみれば、確かにハヤテの面影が残っている。
似ている気がしないでもない。
じゃあ、シオリと呼ばれたあの女の子は?
意識が途絶えた。
ベッドにいたままだった。
夢ではなかった。
あんなに鮮明に見え、そして聞こえる夢なんてない。
人並みにしたいには免疫があると思っていた。
過大評価しすぎたようだ。
次の瞬間には既に、トイレに籠っていた。
今更ながら、本物の死体なんて見たことない事に気づく。
吐き続けた。
とは言っても何もでては来ない。
胃液のような物が、喉を這いあがり口から流れ出るだけであった。
喉が焼けるように熱く、下には苦味が残る。
こんなに吐き続けたことはない。
体中から全ての水分が抜けるんじゃないかってくらい吐き続けた。
お腹につっかえ棒をされたみたいに、不快感が残る。
そのおかげか、少しずつ落ち着いてきた。
ゆっくりと立ち上がると、目がぐるぐる回る。
頭が痛い。
とりあえず、トイレから出るとハヤテが壁に寄りかかって立っていた。
私の顔を見たハヤテは、ふにゃりといつも通りに微笑んだ。
ずくんっ。
「…?」
「落ち着いた~?一回寝た方がいいよ~。」
「うん…。」
胸が一瞬飛び跳ねた気がした。
でも、次には何事もなく心臓は動いている。
それにしても、だ。
ハヤテはいつもこんなことしないのにな…。
大体、私を心配してくるのはマシューな訳で。
ハヤテはどちらかと言うと、気が利かない部類の気がする…
ひょいと足が宙に浮く。
何事かと思って見ると、ハヤテが私のことを抱きかかえていた。
騒いだり皮肉を言ったりするほど体力も残っていないので、私は大人しく運ばれた。
特に、胸は高鳴らない。
やっぱり病気なんだろうか…
私の部屋に入り、ベッドに優しく降ろされた。
布団を口元までかけられる。
途端に、疲労のせいか睡魔が私を襲った。
目を閉じる寸前、ハヤテの口が何かを呟くように動いたように見えた。
*:*:*:*:*
今の状態はなんと言えばいいだろうか。
率直に言うと、空に浮かんで二人の子供を眺めてる。
私の体はどんなに探しても見えない。
これは夢なんだと気づいた。
小さい男の子と女の子がブランコに乗って話している。
ここからじゃよく聞こえない。
さすがに夢の中じゃ千里眼は使えないらしい。
私はその二人に近づこうと透明な体で虚空を足掻いた。
少しずつ、会話の内容が聞こえてくる。
「…は将来、何になるの?」
男の子が女の子にそう聞いた。
すると女の子は自信満々に
「私は将来大きなお家に住みたい!!」
そう答えた。
「…は何になりたいの?」
相手に私のことは見えていないらしい。
結構近い距離にいるのに、こちらには目も向けない。
そして、肝心の名前が聞こえない。
これじゃあ、誰が誰なんだか全く分からない。
「僕は、政治家になってこの国を変えたい。」
男の子は自信なさげにそう答えた。
説教された後の子犬みたいに眉尻が下がっている。
女の子は当たり前のようにこう切り返した。
「どうして?今のままでもいいじゃない。」
「よっよくないよ!!
だって人が死んでるのに、皆どうして何も思わないの?」
この男の子、なかなか分かってる。
ちゃんと核を持ってる。
大丈夫、君はいい政治家になれそうだよ。
届かない言葉を頭の中に並べる。
女の子はちょっと怒り気味に言い返す。
「これが世界の流れなんだよ?」
「わッ分かってるよ!!そんなの!!」
子供のくせに可愛くないこと言うな~…
それに、この二人どちらもそれなりに顔が整っている。
小さい頃からの美形っていいな、羨ましい…
「栞(シオリ)はもうちょっと夢を見た方がいいよ。」
「疾風(ハヤテ)こそ、もうちょっと現実見た方がいいんじゃないの?」
女の子は栞。男の子は疾風。
ん?疾風?ってあの、ハヤテ?
言われてみれば、確かにハヤテの面影が残っている。
似ている気がしないでもない。
じゃあ、シオリと呼ばれたあの女の子は?
意識が途絶えた。