狼×4+私=架空世界
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目が天井を捉えた。

夢か現か分からぬまま、ぼーっと眺め続ける。

どうやらあの時からずっと寝ていたらしい。

外から、部屋に月明かりが差し込んでいる。

外から騒ぎ声が聞こえる。

窓を開けて少しだけ顔を覗かせると、4人が水鉄砲で遊んでいるのが見えた。

夏だとはいえ、もう日が沈んでるのに。

4人でバカみたいに叫びながら水を掛け合っている。

フウトもマシューもハヤテもメガネを外している。


…マシューとフウトはメガネ外しちゃいけないな。

やっぱり眼鏡が二人には重要だね…


あ、フウトがマシューに水風船投げつけてる。

どこから持ってきたんだろー。

幼い子供みたいにはしゃぎ合っている姿は、微笑ましく思えた。

4人は時に見せる、私にはない純粋さが好きだ。

さっきの夢がフラッシュバックした。

4人の輪の中にもう一人、先程の女の子が一緒に混ざっている姿が見えた気がした。

瞬きをしたら、もういない。

栞、だったっけ…

こんなに詳しく覚えているなんてただの夢じゃない気がする。

さっきの幼い頃のハヤテらしき男の子の目が語っていた。

あの子が好きだ、と。


ずくんっ。


また胸が痛んだ。

何だろう、変なの…

前もこんなことがあった気がする。

でも、いつだったか思いだせない。

ぼーっと考え窓からこちらを眺めている私に気づいたセシルは、こちらに手を振った。


「ユイも、一緒に遊ぼうよ!!」


私は、恋をしたのかもしれない。
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