狼×4+私＝架空世界

「だから、分かんないんだってば。」

「それもそうか。男4人だもんな。」


セシルをつまみ出したフウトは能力を使ったのか、目が一瞬黄色くなった。

恐らくセシルの聴覚を…

そんなに知りたいのか。


「セシルよりは力になれるぞ。言ってみろ。」


私がそこまでのあらすじを話すと、フウトがドヤ顔で私を指さした。


「マシューは多分、お前に気があるな。

ハヤテはちょっとよく分からないけど。

ハヤテは好きな人関係だと用心しないと血祭にされるぞ。」


フウトは勝手に分析を始める。

お前に何が分かる、と言いたいところだが私にも分からない予想をしてくるので何も言えない。


「単に正義感で守ってるんでしょ。ハヤテは。

3人のことも馬鹿にしたら、ハヤテ、血祭にするんじゃないかな。」

「…ユイは、そこに入らないのか？」


遠慮がちにフウトがそう効く。

私は静かに首を横に振った。

仲間ではあるけど、守ってもらう対象ではない。

そんな思いを込めて。

母と父がいなくなってからはずっと私は一人で生きてきたんだ。

今はもう、私は生きる術を十分に学んだ。


「無理矢理仲間に入ろうとも思ってないし、守ってもらおうとも思ってないよ、私。」

「嘘つくなよ。

じゃあなんでそんな辛そうな顔してんだよ。」


フウトがはっきり告げる。

自分ではそんな顔したつもりない。

私は顔を背けるばかりで何も言えなかった。


「私、大丈夫だよ。」

繕った笑顔で呟いた。