狼×4+私=架空世界
「ユイッ!!」

「おっと、待て。

そうはさせないよ、攻詞榴。」

「!!

兄ちゃん!!」


お兄さん?


「人の顔に泥を塗っておいて何だ今更。

それにさっきのは一体なんだ?

お前は超能力者ではないはずだが。」

「うるせぇっ!!それより、ユイを放せ!!」


男は胸の内ポケットから何かを取り出した。

それを一振りすると刀くらいの長さになり、それが私の首元に押し当てられた。

男は私を見て笑うと、4人にこう言った。


「質問に答えたまえ。

何故、お前らはあれを使える?

この世にいる価値のない犬っころだったくせに。」

「…質問に答えたらユイを助けてくれるんだな?」

「あぁ、ほら。」


男は鉄格子の扉をあけ放った。

何を思ったかセシルはこちらに駆け出す。

しかし。

ガチャンという音と共に、いつの間にか4人全員がこちら側にいた。

そして赤い液体が私の手に頭上から滴り落ちた。

ハヤテだった。

男がハヤテの背中に剣を突き立てていた。


「…まぁいい。

疾風が先に負傷しようと結果は同じだ。」


私を庇ったの…?

目から恐怖と驚きのあまり涙が零れた。

なんで…?


「ユイは…仲間でしょ…?

仲間だか…ら…守っただけ…

いっ…!!うああっ…!!」

「余計な口を叩くんじゃない。

そういや責任放棄者になったという話を聞いたんだが。

そしたら[疾風]じゃなくて『ハヤテ』か(笑)」

「てめぇっ!!よくもハヤテを!!」


セシルが男に向かって叫んだ。


「生意気なのは昔から変わらないな。」


男は口元を歪めると鉄格子の間からセシルを蹴り飛ばした。

小さい体が吹き飛ぶ。

すごい威力で壁にぶち当たりうめくセシル。

地獄風景であった。
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