狼×4+私=架空世界
世奈side


「世奈様…あの、本当によろしかったんでしょうか?」

「…何がだ。」

「弟さんですよね?世奈様の。」

「だからどうしたというのだ。

刑執行に親族だからと言って重さを変えてはならないだろう。」

「いや…その…

噂を小耳に挟みまして…」


隣でもじもじとする女重臣を見て溜息をつく。

気遣ってもらうのはいいのだが、言いたいことを言わないのがこいつの悪い所だ。

攻詞榴がどうしたというのだ。

あいつの顔を見てからざわざわとする胸の中を変えてくれるわけじゃあるまいし。


「何だ、言ってみろ。

お前は言いたいことを言うべきだ。」

「…はい。率直に申し上げますとですね。」


睫毛が伏し目がちになる。

やがて意を決したように、顔を上げた。
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