狼×4+私=架空世界
「最初会った時、なんでこんな暗い目をしてるんだろうって思った。」


ハヤテは話し始めた。

私は黙って聞いた。


「なんでそんな目をしてるか分かった。

優しすぎて、周りに何も言わないから。

ストレスも顔に出ない。

だから目に出てたんだって。」

「私は優しくなんかない…

むしろ最低だよ……」


「優しいよ。

ユイはいつも皆のこと考えてる。

ユイはいつもセシルがうるさいと叱るけど、そういう時は大抵フウトが機嫌悪い時だし。

フウトが何かやらかしたら一緒に後始末するし。

マシューは眼鏡ケースに眼鏡仕舞わないからすぐ眼鏡壊すんだけど、最近全くマシューの眼鏡が壊れないのはユイがこっそり仕舞ってるからでしょ?

俺がゲームやりながら寝ちゃった時いつも毛布かけてくれるのもユイ。

俺はちゃんと知ってる。

これを優しさって呼ぶんだよ。」

「でも」

「でもじゃない。

ユイは気を利かせすぎて疲れてるだけ。」


頭に置かれた手がそっと私の頭を撫でる。


「良かった。

ユイが本当のこと話してくれて。」

「え…?」


私は顔を上げた。

微笑んで遠くを見ているハヤテ。

その視線の先には快晴の青空。


「俺は前から知ってたよ。

ずっと話してくれるの、待ってた。」


ハヤテは私に視線を移して。



目をゆっくり閉じた。




ハヤテの体温が感じられたように思えた。
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