Kiss or Kiss
見とれてしまったことに気づき、俺はハッと我に返った。

何してんだ、俺は。

俺は彼女の手から半分だけ書類を奪った。

「これ、どこまでですか?」

「資料室までです」

「じゃあ、一緒にお運びましょう」

俺は彼女と一緒に歩き出した。

「えっと、あなたは…?」

「はい?」

声をかけられたので、歩きながら返事を返した。

「金田英次です」

「あたしは堺彩花、今年入ったばかりなんです」

へえ、同期なのか。

そう思っていたら、
「あたし、高卒だから何か不安で…誰か同じ仲間いないかな、なんて」
と、彼女が言った。

「あの…」

俺が声をかけたら、
「んっ?」

彼女は聞き返してきた。
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