金色の獣
1章
紅い金色の獣
煌びやかなネオン街
眠らない街
どこでも必ず薄暗い裏路地が存在する
そんなとある路上
月明かりのみが照らす
ガッ
「うっっ」
バキッ
「かはっ」
ドサッ
「...はっ...っ」
たまたま近くを通りかかった通行人が
興味本意で音のする方へ
曲がり角から少し顔を出し
様子を伺う
月明かりに照らされた黒いシルエット
立っているのは一人
よく見るとその周りには沢山の人影
屍の様に重なり転がっている
その中に悠然と立ち
まくり上げた白い両手は紅い血が滴る
異様な光景であるにもかかわらず
目が離せない
偶然か
存在に気づいたのか
その黒い人影がこちらに視線を向ける
月明かりを浴び
白い肌によく生える紅い血
神々しく輝く金色の瞳
ーーー
ーー
目撃者は口を揃えて言う
「赤い血を浴びた両目が金色の獣」
いつしか噂がそこら中に流れ
"紅い金色の獣"
と話題になる
ーー
ーーー
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