嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。
「今だって、晴に抱きついて泣きながら毎日眠りたい。でも、晴の成長のために我慢してるの。晴が大切だから、時間が進むのを怖がらずそれでも止まれば良いのにって思って……生きているの」
ポロポロ零れる涙は、小さな水たまりになって空に浮かぶ月を映す。
月の光は淡すぎて、全然私の心は温まらなかった。
だから、いい。
晴哉の太陽みたいな温かさが失われない。代わりになれない、から。
「駄目よ。晴の為に我慢してるって。貴方、晴を理由に使うのは駄目。あの子は関係ないのよ、貴方が選んだんだから」
「ううう。だって皆、酷いんだもん。私、このままでいいのに、――このままが良かったのに」
どんなに晴哉が好きだったか、伝わらない寂しいさに胸がはち切れて、そのまま爆発して消えてしまいそう。
こんなに好きなのに、気持ちは日ごと増えていくのに。
「そおね。このままでも桔梗ちゃんが幸せならそれで私もいいわ。もう御見合い写真預からないことにする」
「まだ預かるつもりだったの?」