嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。
お月さまは、いつも太陽に隠れていてその意味を見出せないでいた。
マラソン大会の新聞が破られた時、破った相手を殴ってくれた幹太より、
私の気持ちに寄りそってくれて、泣いている私の前で一緒に新聞をテープで貼って修正してくれようとした晴哉に気持ちを傾けていた。
中学時代は、御店の留守番まで買って出て、三人で誰かの家でゴロゴロして過ごす時間も減って、代わりに晴哉と二人で居られる時間が増えていた。
だから、私には、見えていなかった。
見ようとしなかった。
結婚報告のあの日、壁に押し付けられるまで、幹太はこっちを見てくれないんだと諦めていたし。
「驚いた。本当にこんなところにいた」
だからおじさんが言った、幹太の行きそうな場所について聞かされて驚いた。
驚いたのは、そこに幹太がちゃんといたから。
「本当はあんた達って仲が良かったの?」
巴ちゃんの家の御寺の、裏の駐車場。
二台のバイクの間に、巴ちゃんと幹太が居た。