嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。

袈裟姿の男が私の方を振り返る。

そのままヘルメットを取ると、切れ長の細い瞳で、私を穴が開くほど見てきた。

袈裟姿だったから髪の毛がないかと思いきや、ちょっと茶色っぽいさらさらの髪の毛で、しかも耳にはピアスホールの跡が見えた。


「やーん。久しぶりね、桔梗ちゃん。やっぱり美人ねー。やだー黒い髪もサラサラで綺麗だわ。猫みたいなつぶらな瞳も可愛い」

ゾクゾクと背中に悪寒が走り、思わず後ずさる。
低い声で、女口調で女子会のノリで話しかけれられても、この人が誰だがまったく分からないのですが。


「おい。下がれ」
低いうねり声で、幹太が私の首根っこを引っ張った。
そしてそのまま私とオカマさんの間に割って入った。

「おじさん、晴一達と中へ」
「お、おう」

うちの親や晴哉のお父さんがあたふたする中、幹太がそのオカマさんを睨みつけているのが分かった。



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