嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。
死にかけた私は、何で死ねなかったのか分かっているよ。
おぼろげながらも、頭を掠めていたんだもん。
頑張ってまた一から歩き出そう、晴哉がくれたもの全て、晴一へ渡そうって決めたのも、
幹太が助けてくれたからじゃない。
私が今此処に居るのは晴哉と晴のおかげだから。
手を差し伸べて救ってくれた幹太を、男なんだと意識したくなかった。
触れられた唇、覆いかぶさられた体温、布団へ押し付けられた肩に手首。
全部全部、消えないの。
私の中から消えないの。
助けてと、晴哉の名前を呼びたくなって、それだけは我慢して涙だけは我慢せずに流した。
分からない。
晴哉を忘れたくないけど、幹太との向き合い方が、私にはもうよく分からなかった。