嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。
「お断りします。今日は母が手術だから歩いて病院行くつもりだし」
行けたら、だけど。
良心はラブラブだから二人だけでも良いみたいだし、仕事の後に無理にバタバタ行ってバタバタ帰るにはちょっと遠くて難しい。
せめてバスぐらい乗れたら、もしくは幹太が車を出してくれたらって思ったけれど、それは昨日の今日で無理な話だ。
「あのね、どうして私が貴方を好きなのかとか、幹太の事とか、晴哉のこととか。法事を駄目にした事も含めちゃんと貴方とお話してみたいの。待っていていいわよね?」
拒絶させないようにはっきりとそう言われても、今は嫌だ。
私に好意があるという人と二人で話したくなんてない。
「後日じゃ駄目ですか?」
「貴方と幹太に昨日何があったか知らないけど、後日で困るのは貴方達だと思うわよ」
はっきりとそう言われて、何だかもう、降伏してしまうしかないのかもしれない。
「定時は五時です。五時に幹太のおばさんと交代なの。あと、すいません。乗り物には乗れないから歩きになりますので長居もできません」