嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。
どちらも、太陽を失ってから機能せずにただひっそりと生きていたのを、漸くやっと自分の意思でお互いを、お互いの光で認識始めたばかりだ。
「お待たせ、桔梗ちゃん」
睨みつけられていた私の前に、バイクで現れたのは巴ちゃんだった。
幹太とはまだ距離がある。ちょうど納品用のトラックが止まる場所に、私と幹太を引き裂くように現れた巴ちゃんに思わず笑ってしまう。
「ちょっと待って。スムージー零しちゃったの」
「あらやだ。私、何も持ってないわよ」
「私があるから大丈夫」
カバンからティッシュを取り出してそのまま座りこむ。
ティッシュのゴミを容器の中に入れたが、問題は美鈴ちゃんを納得させることと、この大型バイクに死んでも乗りたくないことと、――すぐそこに幹太が居ること。
「逃げるんですか? 幹太さんから。今もそこで桔梗さんを待っていてくれているのに」
確かに逃げることは卑怯だけど、今は会っても平行線のままな気がした。