嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。
「そんなにむきになるぐらいなら、また幹太を押し倒しちぃなさいよ」
「は?」
「見たわよう。昨日。ふふふふ。既成事実さえ作れば、確かに幹太なら責任をとってくれるかもしれないわねえ」
昨日のデートをしきりに言っていたのは、こおいつたまたまかわざとか知らないけど、目撃しちゃったってわけね。
幹太が昨日私を押し倒したのも、それが関係してたのかな。
「でも、それは美鈴ちゃんが望んでいる形じゃないよね」
私がそう言うと、悔しげに美鈴ちゃんは唇を噛みしめた。
そして、巴ちゃんを親を殺した犯人かのように睨みつけている。
まあ、間違いではないからしかたない。こいつは人の怒らせる天才なんだと思う。
「私もね、晴哉を愛してるよ、これからもずっと、ずっと。それは変わらないし、幹太もそれは分かっていると思うよ。だから悪いけど貴方が望み言葉も安心しできる言葉もあげることはできないの。ごめんね」
謝れば、美鈴ちゃんが惨めになるのは分かっていたけれど、私のエゴでそれを伝えた。
そうすることでしか、私も答えを出せないのだから。