嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。

「車に追い付かれちゃうわよ」
「大丈夫。ここら辺は抜け道とか一杯知っているから」

「……貴方がそう言うならいいか」

私の気が変わって帰られても困ると思ったのだろう。仕方なさそうに大型バイクを押しだした。

「ありがとう。で、海にでもいくの?」
「この重量を押して海とか冗談じゃないわよ。私の家でも来ない?」
「あーっと、うちの親の手術の状況次第ね」

だが、お父さんに電話すると、残念なことに今日は大丈夫、お父さんが付き添うから、とか手術は成功だったからとか、二人でイチャイチャしたいのが電話越しに伝わって来てしまった。
畜生。

晴の世話もお義母さんが居るって言うし、幹太は美鈴ちゃんに捉えられたまま。

「じゃあ、お邪魔しちゃおうかな」

私がそう言うと、ガッツポーズをした巴ちゃんはちょっと可愛かった。
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